トスカーナ・タンナー展レポート
イタリア大使館貿易促進部にて「トスカーナ産植物タンニンなめし革」の展示会が行われました。イタリア、トスカーナの歴史あるタンナーであるLa Perla Azzurra(ラ・ペルラ・アッズーラ)社が来日するということで、2017年4月13日にanalogico代表、末吉隼人も革の買い付けのため行ってまいりました。その様子をレポートします。
analogicoでは、革製品の材料としてLa Perla Azzurraが鞣したイタリアンレザーを使用しています。
マッシモ・ボルドリーニと末吉隼人
マッシモ氏との久々の再会
迎えてくれたのは、La Perla Azzurra社長のマッシモ・ボルドリーニ氏。マッシモ氏はイタリア植物タンニンなめし革協会の副会長でもあります。歴史ある植物タンニンなめしの革とその技術を保護・発展のために尽力されています。
実は末吉は革のバイヤー時代に何十回とイタリアに赴いていた頃からの知人であり、久々の再会となりました。
この絆があるからこそ、analogicoはLa Perla Azzurraの革を仕入れることができるのです。
Azzurraと、イタリア植物タンニンなめし革協会
豊富な種類の革が展示されている
革の一つ一つに、手書きで製品名が書かれた革のタグが付けられている
革の見本帳。豊富なカラーバリエーション
analogico製品に使用しているMissouri
アッズーラ社員の方が丁寧に説明してくれた
アッズーラ社は1967年の春に設立、今年でなんと50周年とのこと。アッズーラ社の歴史が書かれた50周年記念誌も置いてありました。タンニンなめし自体の発祥はさらに歴史が古くルネサンス時代に遡りますが、50年という歳月はイタリアの経済ブームを経て急速に広まったサンタ・クローチェ地区の皮なめし業界の歴史そのものと言ってよいかもしれません。
La Perla Azzurraの革の品質の良さは、この歴史に裏付けられています。analogicoも、その高品質に惚れ込んでこのイタリアンレザーのみを使っています。
ランドセルの革を求めて
今回、展示会に来た目的はマッシモ氏と会うためだけではありません。analogicoで製作するランドセルに適した革を見つけ、それを仕入れるためです。
ランドセルの革としては、ミッスーリのようなワイルドなシボよりは、表面のスムースな質感が適しています。そして、6年間の使用に耐えられる厚みと強度です。薄いと使用経過でヘタってきますので、しっかりとした厚みとコシがないといけません。そのような革を展示会にて探しました。
実は日本でも植物タンニンなめしの革は生産されています。ランドセルに使用できそうな風合いとコシのある革もあるのですが、オイルの含有量が少ないため極度な曲げ加工でひび割れを生じやすく、扱いにくいのです。
オイルドレザーのオイルの含有量についてはとても難しく、含有量が少なければハリが出ますがひび割れやすく、含有量が多ければ柔軟性が出てひび割れしにくいものの、柔らかくなりすぎてハリが出ません。また、日本製の革の原皮は背割りの半裁。1枚の革が背中からお腹までの半分でできているため、1枚の中で質感が全然違います。ランドセルのようにスムースで均一な密度を求めるのが難しいのです。
しかし、そんな要求に答えられる革がLa Perla Azzurraの展示の中にありました。DAKOTAです。
オイルドレザーのなめらかな風合い、スムースな質感。オイルの含有量がとても高く、折り曲げてもひび割れることがありません。これならば、丸縁など制作工程上よく曲げるような部位にもく同一の素材で製作ができます。それでいて、ちゃんとハリがあるのです。それは革自体の繊維の密度が高いからです。La Perla Azzurraの良さは、なめし加工技術の品質の高さもさることながら、実は鞣す前の原皮自体の質がとても良いのです。La Perla Azzurraでは主にフランスの原皮を使用しており、状態がきれいで質が良い。そして、しっかりと厚みのある原皮を仕入れています。それでこのような質の高い革が製造できるのです。イタリアンレザーの高品質の所以です。
今回の目的はランドセルに使用する革
風合いはもちろん、強度と加工性も大事
DAKOTAという革を仕入れることにしました
DAKOTAの仕入れの手続きも済み、La Perla Azzurra社長のマッシモ・ボルドリーニ氏とも会えて、大変有意義な訪問でした。
analogicoはこれからもLa Perla Azzurraの最高品質のイタリアンレザーを使い、革鞄や革小物・ランドセルなどを頑張って作っていきます。