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革変態ブログ

こんにちは。末吉美紗子です。

過激なタイトルのブログですが、これを書こうと思ったきっかけがあります。
先日、うちのスタッフが常連の革が大大大好きなお客様に言った「(革)変態ですね。」の一言。(信頼関係の上でお伝えした言葉ですが、不快に思われた方がいらっしゃったら申し訳ありません。)そのお客様はこれを褒め言葉として受け取ってくださいまして、もちろん私たちも最高の褒め言葉として申し上げました。

何を隠そう、おそらく私たちが一番革変態です。今回のブログでは、出来上がった製品を見るだけではなかなか分からない革の奥深い世界を、革初心者の方にも分かりやすく、変態目線からまとめてみました。

へ〜と思いながら、そして部分的にでも共感して読んでいただけたら幸いです。

以下、革についての内容ですが、一口に「革」といっても色々なものがありますので、私たちが扱うイタリアンレザー、ミッスーリを軸にお話しします。


Q.アナロジコの革ってそもそも何の革ですか?

A.牛革です。


イタリアで鞣めされているためイタリアンレザーですが、原皮はフランスの食用牛。その副産物である皮を使用しています。

牛舎のような狭い場所で飼育されている牛ではなく、広々とした高原で放牧されています。ストレスも少ないため、キズが少なく(※)、革に加工するにはとても質の良い原皮となります。

※質が良いとはいえ、キズはあります。表面に余計なコーティングを施していないため、キズがもろに見える仕上がりの革です。

革の鞣しの全行程はイタリアのトスカーナで行っています。トスカーナといえば植物タンニン鞣し革(ベジタブルタンニンレザー)の一大産地。アナロジコで扱う代表的な革であるミッスーリも、トスカーナ産植物タンニン鞣し革協会所属のLa Perla Azzurra社により作られています。

リネアペッレ(イタリアでの革の展示会)にて
イタリア植物タンニンなめし協会 品質保証マーク
イタリア植物タンニン鞣し革協会のシンボルマーク
熟練の鞣し職人の手


Q.牛の体のどの部分を使っていますか?

A.ショルダーです。


ショルダー、つまり肩。下の写真でたつ兄(たつにい)が持っている、この一枚がショルダーです。牛の頭部はこの上の方に、背中からお尻はこの下の方に繋がっています。そして左右に前足がきます。

ここから牛の全体像を想像できますか?

牛の体丸ごと切り取った革のことを「丸革」(通称”まる”)といいます。

丸革のうち、図で示したピンク色の部分がショルダーです。なんと、アナロジコで仕入れているのはたったこの部分だけなんです!
(牛を背中の上から見た展開図)

部位ごとの革の特徴

ショルダー(肩)
前足や首の動きに連動してよく動く部位で、繊維の密度が高く、柔軟性と強度を兼ね備えている。柔軟で伸縮性があることからシワが多く、トラと呼ばれる縞模様も見られる。

バット(ベンズ とも)(背中〜尻)
繊維がしまっていて硬さがありとても丈夫。厚みがありベルトや靴底などに向いている。

ベリー(腹)
繊維の締まりがなく、荒い。よく伸びるので鞄の内張りなどに使われることがある。

ショルダーは、強度や伸縮性のバランスが良く、アナロジコが作りたい鞄に最も向いています。


ヨーロッパでは、ショルダーやバットなど部位ごとに価格が決められ、部位単位でカットされた革が流通しています。部位ごとに性質が異なり、製品への向き不向きがあるためです。一方日本では古くから「半裁」といって牛の体を縦に割る方法が取られています。

アナロジコが仕入れるのはイタリアの革なので、鞄に最適なショルダーを選ぶことができますが、日本の「半裁」だとベリー(腹)など、鞄には向かない品質の部位も多く含まれ、私たちからすると使いづらいのです。

様々な革の表情

柔軟性と強度を兼ね備えたショルダー。一枚の革の中にも様々な表情が現れています。

裁断担当のたつ兄は毎日大きな革と向き合っています。いろんな表情や繊維の向きなど見極めながらの難しい作業ですが、たつ兄は言います。「この難しさこそが天然の革を扱う醍醐味だ!!表情が均一な革のカットなんぞ面白くも何ともない!」

ともちゃんも、ミッスーリレザーの個性あふれる表情が大好きです。

色ムラやトラ、シボなど、革の個性がよく見えるマローネ(写真)やナチュラルがお気に入りのカラーです。

さてミッスーリレザーには具体的にどんな表情や特徴があるのでしょうか。毎日革に囲まれて過ごしている私たちの変態っぷりを交えてご紹介します。

▼革好きにはたまらない”縁”(えん)

アナロジコで一番変態なのはやっぱりこの人でしょう!世の中に多く流通している普通の革には到底見られない、ゴリゴリのシボやワイルドなトラ(以下の項目で説明します)、縁など、ミッスーリの自然な表情が好きで好きで、「ベロベロブックカバー」という変態感溢れるネーミングで自作のブックカバーを定番化させました。

このベロベロブックカバーに使われている、革の端っこの部分のことを「縁=えん」(アナロジコでの通称はベロベロ)と言います。縁には本当にいろんな形があります。

最近発売した革のしおりにも縁が含まれていることが多いです。(縁が入っていないものもあります)
>>限定レザーの革のしおりはこちらからご注文いただけます(売り切れ次第終了)
>>定番カラーはこちら

▼ワイルドな”トラ”

良く動かしていた首や肩に見られる深い縞模様。牛が生きて動いていた証であり、迫力があります。

私はミッスーリレザーのトラが大好きです。「トラ」とは牛の肩まわりのシワで、ショルダー部位の特徴です。ヒポバッグのように盤面が大きな鞄でトラが入っていると迫力満点です。クロム鞣し(※)や顔料仕上げの革では決して味わえない自然の模様です。

※塩基性硫酸クロムを主成分とした鞣し剤を使って革を鞣す方法。柔らかく、耐熱性にも優れた革に仕上がるが、エイジングしない。短時間で安価に仕上がるので量産する革に向いている。

こちらはラージトート

近めで見ると爬虫類の皮膚のようにさえ見えるトラやシボの表情。自然の造形が面白いです。なお、トラの部分は革が裂けているわけではないので鞄の強度に影響はありません。

▼ゴリゴリの”シボ”

大小様々、無数に現れる銀面(表面)の凹凸のことをシボと言います。私たちは、大きめで目立つシボのことを「ゴリシボ」と呼んでいます。凹凸模様によって傷が目立ちにくいというメリットもあります。

エイジングサンプルとして店頭に置いている末吉のL字ファスナー財布(マローネ)は自分が大好きなゴリシボを使って作りました。

じゅんじゅんもミッスーリのシボがお気に入り。じゅんじゅん作のこの2wayクラッチも全面にシボが入っていて革質は柔らかめ。そう、シボが入っている部分はツルツルの部分よりも革の繊維が柔らかい傾向があります。

▼ツルツルとゴリゴリ

ゴリゴリのシボがあれば、ツルツルの部分もあるのがミッスーリの面白いところ。

同じカシメミドル財布のナチュラルですが、激しすぎる個体差!均一な仕上がりが求められる大量生産とは真逆のアナログな物作りですので、このような差が生まれます。

アナロジコのスタッフはゴリゴリ派が多いのですが、ツルツル好きなお客様も多くいらっしゃいます。

唯一無二のゴリシボ。

▼バラキズ

牛が生きていた頃に付いた大小様々なキズが見られます。製品にもこうしたキズの部分が入ります。(明らかに深い切れ目が入っているなど、耐久性に問題のあるような傷を製品に入れることはありません。)

ミッスーリの原皮は質が良くてキズが少ないのでは?と思いますよね。少ないとはいえ、生き物なのでキズは付き物なんです。革を作る際の仕上げ方によって、そのキズがそのまま見える形で残るのか、覆い隠してしまうか、に大きな違いがあります。

銀面(革の表面)に顔料を吹く「顔料仕上げ」の革だと、このようなバラキズは綺麗に隠すことができますが、ミッスーリレザーは「染料仕上げ」。染料を革に浸透させて染めていますが、銀面を覆うような顔料は吹かないため、このようなバラキズはそのまま残ります。



その代わりにこんなに素敵なエイジングを楽しむことができます。

ミッスーリレザーのエイジングが大好きなつかちゃん。入社前、初来店時に購入したシガレットケースの色はナチュラルです。使い始めの明るい色からがらっと色が変わり、こんなに飴色に、ツヤツヤになりました。

新品(左)と比べるとこの通り
ラウンドファスナー長財布 ナチュラル エイジング
ミッスリレザー ナチュラル ラウンドファスナー長財布のエイジング

手前が3年間使ったラウンドファスナー長財布のナチュラルで奥が新品。初めは同じ色だったものです。

▼レアなデシ数刻印

これは革の部位や質とは関係ありませんが、革一枚の中で、床面(とこめん=裏面)に一箇所だけ刻印される数字の刻印です。革の大きさを示しています。

タンナーごとに刻印の書体が違ったり、刻印の色もロットによって変わります。
そういえば、以前はミッスーリレザーの革色ナチュラルへの刻印はオレンジ色でした。

革はデシ(ds)という単位で大きさを測ります。
1ds=100㎠
つまり10cm×10cmの正方形です。

アナロジコではデシ数刻印の部分も製品に使用するので、たまにデシ数入りの商品ができあがります。(デシ数が入るのは表側ではなく、フタの裏や製品の内側部分ですのでご安心を!)
このデシ数入りはレアなので、珍しくゲットできたらラッキーです。

▼香り

革の香りも、植物タンニン鞣し革ならではの楽しみ。タンナーそれぞれに革作りのレシピがあり、ミモザやチェスナット(栗)などの植物のタンニンで鞣し、独自に調合した特製のオイルを浸透させて仕上げます。使用するタンニン液や仕上げのオイルによってできあがる革の香りも様々です。

同じ革でもロットによって香りが変わります。イタリアから革が届いて開封した時は、今回のナチュラルはいい香りだ!とか、これは燻製っぽいね、などいろんな感想が飛び出します。

みなみちゃん的にはミッスーリのブラックが一番いい香りがするのだとか。お気に入りの香りを嗅ぎながら制作できるって幸せですね。

▼プルアップレザーならではの手触り

しっとりした手触りは、ミッスーリレザーのようにオイルをたっぷりと含んだプルアップレザーならでは。プルアップとは、革を折り曲げた時に色が変化する現象で、革の内部でオイルが移動することで起こります。(オイルが入っているところは濃い色、折り曲げた部分はオイルが逃げて白っぽくなります。

プルアップレザーはオイルたっぷりなので、しっとりとした手触りが特徴です。

ちーちゃんの、ミッスーリレザーお気に入りポイントはこのしっとりした手触りです。ついついずっと撫でていたくなります。手で触ることで油分の補給にもなり、磨きがかかって銀面に艶が出ます。革変態の私たちは、電車や車での移動中、ずーっと鞄をなでていることもしばしば。

皆さんはどんな風に革を楽しんでいますか?

アナロジコは、「#アナロジコ」をインスタグラムでフォローしているのですが、革好きの皆さんの、革への愛が溢れる投稿をたくさん見ることができてとても面白いです。革変態仲間がもっと増えたらいいなと思いつつ、これからも楽しい投稿をお待ちしております!

“革変態ブログ” への2件のフィードバック

  1. こんにちは!革の事教えて頂き有り難うございます、とっても勉強になりました、今回購入して分かったんですがアナロジコさんの鞄は重いようで軽い、硬く見えるけど柔らかい、私の人生やっと最高の鞄に辿り着きました、大事に使います、これからも( `・∀・´)ノヨロシ

  2. 青木様 
    コメントいただきありがとうございます!お読みいただけて嬉しいです^^そして、最高の鞄!とのお言葉、大変光栄です。ありがとうございます。今後ともどうぞ長くお付き合いください。よろしくお願いいたします♪

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