ナチュラルレザー”変化していく魅力”
先日、イタリア文化会館にて行われたイタリア植物タンニンなめし革協会のセミナーに参加しました。
変化していくことの良さ
イタリア植物タンニンなめし革協会は、イタリア・トスカーナ州のタンナー22社が加盟しており、植物タンニンなめしという、ルネサンス時代からの伝統的な技術を守り、後世に伝えていくことを目的として1994年に設立されました。
アナロジコが使うミッスーリレザーを作っているLa Perla Azzurra社も加盟タンナーの一つで、社長のマッシモ氏が副会長を勤めています。
植物タンニンなめし革は、ベジタブルタンニンなめしレザーやナチュラルレザーとも呼ばれ、植物の渋(タンニン)を用いてなめされた革のことをいいます。
世界で生産される革のほとんどは、重金属のクロムや化学物質を使ってなめされています。短時間で作れるため大量生産に向いており、軽くて柔らか、均一な表情の革に仕上がり、変色しづらいことから、幅広い用途に使えるのです。
一方、アナロジコが使う革は、植物タンニンなめしのナチュラルレザーです。
イタリア植物タンニンなめし革協会に加盟するタンナーは、ルネサンス時代からの伝統を守り、植物(主に栗やミモザなど)から取れる抽出物のみを使い、当時と変わらないなめし工程を、職人の手作業により時間をかけて行います。こうして作られる革は、クロム鞣しなどに比べて重く、変色しやすく、仕上がりの色やシボの入り方にもムラがあります。このナチュラルレザーの特徴は、均一性が求められ大量に作られる製品には不向きですが、手作業で一つひとつの鞄を作るアナロジコにはぴったりの素材です。
天然素材そのものの風合いや、経年による魅力的な変化を楽しめるナチュラルレザーは、手仕事ならではの味わいを大切にして製品を作り、愛着をもって永く使ってもらいたいと思う自分の物づくりにしっくりくるのです。
今回のセミナーでも、自然の原理であるエイジングを肯定的に捉える、と言う話がありました。
革は食肉生産の副産物であり、その中でも植物タンニンなめしの革は、作る過程においても、使用するにも、環境や人体に害のない優れた自然素材です。自然だからこそ、もともとある個体差や、止めることのできない経年変化が、ナチュラルレザーの魅力なのです。
ミッスーリレザーを作るLa Perla Azzurra社のマッシモ氏とは、前職の頃からの付き合いですが、今回は初めてアナロジコのアトリエショップを訪れてくれました。
製品を見ながら、次に仕入れる革について話をしました。
彼らが伝統と技術を守り、素晴らしい革を仕上げてくれるからこそ、アナロジコは良い製品を作ることができます。今後も、新しい革を試してみたり、製品づくりのためいろんな挑戦をしていきたいと思っています。