床面は「とこめん」とも読みます。
こんにちは。みなみです。
2月も下旬に片足を突っ込んでいるにもかかわらず、天気の悪い日はまだ寒いですね。でもよく晴れた日中は少し寒さが緩むときがあったりするので、先日のお休みの日に、アナロジコ近くの初台駅周辺を、探検がてらまったりと散歩をしました。新国立劇場にある屋上庭園はとても居心地がよかったですし、オペラシティの上階からは代々木公園まで余裕で見通せました。代々木公園はここ3年くらい毎年友達とお花見をしているので、今から春がとっても待ち遠しいです。
さて、今回のブログでは革の床面(とこめん)処理についてお話しをしようかと思います。
床面とは鞄やお財布だと内側に当たる裏面のことです。
反対に、商品の顔となる表面のことは銀面(ぎんめん)と呼ばれています。
アナロジコの製品は裏地がついていないことが特徴です。鞄の中で最も傷みが早いのが裏地で、“永く使える鞄”をコンセプトとしているアナロジコでは、初めから裏地をつけないで製品を作っています。なので直接手に触れる床面にも、ストレスを感じにくくするため処理を行なっています。
前回、断裁とコバ磨きについてお話ししましたが、その切り出されたパーツのほとんどすべてに床面処理を行います。
アナロジコで使用しているミッスーリは、厳選された原皮を使った良質なイタリアンレザーで、オイルの含有量が多く、もともととてもしっとりとした質感の革です。ですので、特別に床面処理をしなくても大きな問題はないのですが、よりよい手触りにするために、アナロジコではさらに手を加えています。
床面は何も処理をしないとこんな感じにふわふわとした繊維が毛羽立っているのが分かります。
このままだと鞄の中に入れたタオルやハンカチにその繊維がついてしまったり、ショルダーストラップを肩掛けしたときにニットやセーターに繊維が付いてしまいます。なのでアナロジコでは水溶性の樹脂と接着糊、そしてワックスを混ぜ合わせた処理剤を床面全体に薄く伸ばし、そのあと少し厚みのあるガラス板を使ってゴシゴシとこすっていきます。
そうすることで繊維の隙間に樹脂が入り込み、加えた接着糊によって繊維を寝かし固めます。そしてワックスによってなめらかな手触りになります。
ツヤがでるくらいを目安にこの作業を続けていきます。比較するとこんな感じです。
左が未処理、右が処理済みのものです。写真だと微妙な違いですなのですが、処理をすると触った時の感触がすべすべになります。
端っこまでビチッと留まっています。
ここで使っている処理剤は開発までにちょっとした小話がありまして、以前までは接着糊のみを使用していたのですが、やはり繊維を固めるだけの力しかなかったので、繊維同士が固まってしまい少しチクチクとした手触りになってしまうこともありました。また、樹脂のみを使用した場合、水のような質感なのですぐに床面に吸収されてしまい均一に塗り広げることが難しいものでした。いろいろと濃度を変えたり割合を変えたり試行錯誤した結果、よりよい処理剤を作ることができ、アナロジコオリジナルのものを使用するに至りました。今でも床面のなめらかさ加減を追求し続けています。
床面処理が終わったら次の作業へ移ります。今回はここまで。次回は漉きの作業についてお話しますね。花形の、ミシンでの縫い作業紹介はまだまだ先になっちゃうかもしれませんが、長くお付き合いいただけるとうれしいです。
以上、家にテレビが無くて平昌オリンピックに全くついていけないみなみでした。
>>アナロジコの革について