ツルツルもシボシボも、みんな違ってみんな「いい革」
こんにちは!末吉美紗子です。
上の写真、全部カシメミニ財布のナチュラルです。
オンラインショップからご注文いただいたら、一体どの子が自分の元へやってくるのか…。それは届くまでのお楽しみです。
「そんなの困る!好きなのを選びたい!」
はい、、。お気持ちはとてもよく分かります。でもオンラインショップからはどんな風合いの表情が良いか、個体を選べないんです。※
事前にお問い合わせをいただいても、革の風合いを指定してご注文いただくことはできず、お断りさせていただいております。
商品の写真を個別にお送りしてお選びいただくようなこともしておりません。
申し訳ありません!
※アトリエショップでも、個体を選べるのは在庫が複数ある商品に限られます。ご希望の商品が品切れで受注生産となる場合は、革の風合いについてご指定やご要望をいただくことはできません。
シボ強めだったり、トラ(縞模様)があったりします。
一方で、ツルツルの部分もあります。また、ホクロみたいなのものがあったりします。(写真、analogicoロゴのaの下の点)
ホクロなのかどうかは分かりませんが、牛の体の何かの跡なのでしょう。生きていた動物(牛)ですので、いろんな跡が残っています。こんな表情も可愛らしく見えます。
同じ色(写真はナチュラル)なのに全然色合いが違う!というのも、ミッスーリあるあるです。
ロットによって、革厚によって、色の差がとても激しいです。イタリアのタンナーで染めています。染めだけの問題ではなく、オイルの含有量やその時々の原皮の特徴によって、仕上がりの色が変わってしまいます。
色を合わせて欲しいと要望は伝えているのですが、こうした色ブレは私たちにもどうにもコントロールすることができず、毎度違った色で仕上がってきます。
染めムラで白っぽく見えるような部分もあります。全体的に、風合いも色合いも均一でないところが、ミッスーリレザーの特徴です。
ミッスーリレザーは銀面(革の表側)に顔料を吹いておらず、コーティングを一切施していません。このため、こうした色ムラの他、バラキズ(天然の傷)、ホクロのような斑点など様々な表情がそのまま残っています。
そして、銀面をコーティングをしていないからこそ、植物タンニンなめしならではのエイジングを存分に楽しむことができます。
ミッスーリレザーのように、風合いに激しく個体差のあるナチュラルな仕上げの革というのは、売り手側からすると製品にして販売するのが難しい革です。難ありです。購入される側としても、どんなものが届くか分からないのでもちろん難しいですよね。
だから、こうした革を扱う店はとても少なくて、一般に流通する量も自然と少なくなります。
表情が均一の革の方が製品の出来上がりも安定しますし、売るのも安心です。全部同じように出来上がったほうがトラブルは少ないからです。
それでも、私たちがこの、ある意味で難ありのナチュラルレザーを使い続けるのは、こうした、飾らない素の仕上げの革こそ最高の革だと信じているからです。
商売する上で、トラブル回避、安全志向、やりやすさだけを考えたら、表情がどれも同じように安定して仕上がるクロム鞣しの革や顔料仕上げの革を使うでしょう。
でもそれらの革に、私たちは魅力を感じることができません。(好みや考え方の問題なので、どれがもっとも優れた革ということではありません)
キズは絶対にNG、色ムラNG、シボNG、もしくはツルツルNGなど、革の風合いについて強くイメージをお持ちで、ご希望のもの以外はどうしても使えない、という場合、アナロジコの製品はもしかすると難しいかもしれません。ぜひ今一度じっくりご検討ください。
もちろん、シボが好き、ツルツルが好き、と人それぞれ好みがあると思います。私も好きな表情を選びたいと思いますし、こっちの子よりこっちの子の方が好きだな、と個人的な好みがあります。
(都合上、目立つシミがあったり、大きなキズが入っていたりする革や製品を自分に割り当てて使うことが多いのですが、結局使い始めるとどれも可愛く思えてくるんですよね。。)
どんなものが仕上がるか分からない、人間と一緒で、一つひとつまったく違う表情だから面白い!そんなふうにおおらかな気持ちで、この難ありレザー、ミッスーリを愛していただけると嬉しいです。
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こういう記事、いいなあと思います。例え少々の客に背を向けられたとしても、お店の姿勢やこだわりを明確に打ち出せるのは素晴らしい。
先日、5周年記念のメールバッグについて問い合わせさせていただいた際にバージョンアップの情報を頂戴し、注文しようとほぼ心は決まったのですが、踏み切れなかった理由は実はここにあります。例えば「ツルツルもシボシボも、みんな違ってみんな「いい革」」の1枚目の写真で中央最下段や右列中央のものが届いた日には、集合体恐怖症の私は一切迷うことなく即座に廃棄するしかないわけです。何万円、何十万円を支払ったとしても、です。ミネルバリスシオは大好きでも、ミネルバボックスは使えないのです。
ここしばらく「一か八かで…」と行ったり来たり悩んでいたのですが、今回の記事を拝読して「一か八かはない」と確信できました。ご縁がなかったのは残念ですが、あのメールバッグを拝見できただけで十分です。ご丁寧なやり取りも含め、ありがとうございました。
S.O様
ブログをお読みいただきありがとうございます。そうなのです。本当にミッスーリレザーはいろいろな表情があるので、もし、絶対に受け入れられない革の風合いがある場合はご注文していただかない方が、お客様にとっても、私たちにとっても幸せなことだと考えています。ミッスーリについて実際に目にしたことがないと分からないことも多いと思いますので、こうした事実をもっともっときちんと発信していきます!もしいつかご来店いただく機会があり、店頭の商品で気に入った風合いのものに巡り会うことがありましたら、その時に選んでいただけましたら幸いです。