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La Perla Azzurra社 トスカーナ産植物タンニンなめし革展示会

先日、イタリア大使館でLa Perla Azzurra(ラ・ペルラ・アズーラ)社の革の展示会が行われました。

今回はみなみちゃんと、ともちゃんも一緒にアナロジコ全員で参加。制作をしていると、素材である革についてもっと詳しく知りたくなります。

社長のマッシモ氏とは1年ぶりに再会

この展示会は、革作りについて直接話を聞くことができる貴重な機会!もちろん、頼んでいる革のことや、次のオーダーについても相談します。鞄作りには、革を作ってくれるタンナーとの関係がとても大切です。

今回もアズーラ社からの依頼で、アズーラの革を使った製品見本としてアナロジコの鞄や小物を会場に展示しました。


-目次-


ナチュラルな仕上げの革 ミッスーリ

 ミッスーリから生まれる色々な革

銀面の光沢

 様々な艶出しの方法

光沢の鍵となる油脂

 タンナー独自のレシピで調合

透明感ある色の秘密

 ミッスーリの青と赤の色付け方法

様々なテクスチャー

 雪を思わせる涼しげなアラスカレザー



ナチュラルな仕上げの革 ミッスーリ

普段アトリエで、主にミッスーリレザーしか扱ったことがない、みなみちゃんとともちゃんは、アズーラ社がこんなにも沢山の種類の革を作っていることにびっくり。

こんな、フランスパンのようなテクスチャーの革もありました。これはミッスーリレザーを加工したものです。

ミッスーリをベースにしたシワ加工のレザー(右)

ミッスーリレザーはアズーラ社の作る革の中でも代表的なものの一つです。このミッスーリをベースにして、プリント加工やシワ加工を施し、様々なテクスチャーの革が作られます。

様々な革のベースとなっているということは、つまり、ミッスーリ自体はあまり手を加えられていないナチュラルな仕上げの革だということ。

ミッスーリの良さはやはり、素朴で、革という自然の素材そのものの良さが引き立っているところだと改めて感じました。


銀面の光沢

革の銀面の光沢の有無は、革の最後の仕上げ方の違いで生まれます。艶を出す方法にも色々とあり、プレスしたり、艶を出すための専用のローラーをかけたり、磨きをかけたり、艶の出し具合に応じて使い分けられています。

ちなみにこの茶色い革は、特殊な機械で磨きをかけて仕上げた革。油分を含む植物タンニンなめし革は、磨いた部分の色が濃くなり光沢が出ますね。この革の場合、シボの凹凸の凸部分だけ磨かれて、色が濃くなり艶が出ます。一方、凹んだ部分は磨きがかからず元の色のままです。磨くことで凹凸が強調され、シボが際立って見えるという効果があるのです。


「磨き」を手作業で実演してくれました。表面加工を施していない革に磨きをかけてみます。

乾いた綿の布で強くこすります
色が濃くなり光沢が生まれました

4〜5回強くこすると、革の繊維に浸透した油分が溶け出て色が濃くなり、銀面に光沢が生まれます。オイルをよく含んだ植物タンニンなめし革ならではの変化です。

革製品をゴシゴシこすることはありませんが、普通に使っているだけでも、手でよく触れるところから徐々にこうした変化が出てきます。ぜひ自然な色艶の変化を楽しんでアナロジコの製品を使ってみてください。


光沢の鍵となる油脂

革をしなやかに、丈夫にするために皮に浸透させる油脂。成分や浸透させる量によって、革のハリや質感などが決まります。エイジングして艶が出るのも、油脂が革に含まれているためです。

種類は動物性油脂や魚油など様々。タンナーがそれぞれ独自のレシピを持っていて、特別に調合したものを使っています。詳しい成分は企業秘密なのでここで明かすことはできません…。

アズーラ社独自のレシピで作られた油脂

マッシモ氏にアズーラ社の油脂を見せてもらいました。この黄色いバターのような塊が油脂で、周りのピンク色のものが皮です。

太鼓と呼ばれるこの大きな樽に、皮と油脂を入れて攪拌し、油脂を皮に浸透させていきます。

アズーラ社の油脂は動物性なので、常温だとバターのような形状をしています。皮とオイルを樽に入れて回し続けることで摩擦熱が発生し、その熱によって固まっていた油脂が溶けて、皮の内部にまでしっかり浸透するのです。

ミッスーリのナチュラルのエイジング

こうして油分がしっかり革の内部まで浸透しているからこそ、しっとりした触り心地の良い革に仕上がり、エイジングで艶を増していくのですね。


透明感ある色の秘密

ミッスーリのブルーやレッドがなぜこんなに透明感のある鮮やかな色に仕上がるのか、色の仕上げ方についても聞きました。


ミッスーリの青や赤は染料で革の内部までしっかりと染めています。これは革の断面を見るとよく分かります。

ミッスーリレザーの革の断面

色付けにはいろんな方法があります。革の内部まで染めたり(=下染め)、下染めされた革の銀面にさらに色を吹いたり、下染せずに表面にだけ色をかけたり..

これは、ミッスーリやダコタなど、全ての革の元となる、下染めまで完了した段階のレザーサンプルです。

「Cobalto」と書かれたチップが、ミッスーリのブルーの元になっている革の見本。実際のミッスーリのブルーと比べると少し薄い色に見えますが、この時点でしっかりとブルーに染まっていることが分かります。

そう、ミッスーリのブルーやレッドは、下染めだけであの鮮やかな色を出していて、上から色をかけていないのです。

表面から色をかけてしまうと、ペタッとペンキが塗られたような色の見え方になりますが、青や赤は表面に色をのせていないからこそ、奥行きと透明感のある鮮やかな色に仕上がるのですね。

ミッスーリの赤や青は、色付け自体は「下染め」だけで終わらせています。しかし、ミッスーリレザーは、下染めされた革をシボ出しして風合いを引き出し、シボを引き立たせるためにプレスをかけていますので、こうした工程で、先ほどのサンプルの革と比べて濃い色になって仕上がっているのです。

>>春の限定カラー ミッスーリレザーの青と赤


下染めと塗装、2つの色付け方法を利用した、こんな革もありました。

下染めに明るいオレンジ色、表面塗装に黒、というように、あえて対照的な色の組み合わせで作った革です。真っ黒な銀面を刃物や釘などで引っ掻いて、そこから覗く下染めの色とのコントラストを楽しむというもの。

アナロジコでは扱わない雰囲気の革ですが、製品を使う人自身が好きな柄を描いたり、色で遊べるといういうのは面白いですね。


様々なテクスチャー

こちらは、色付けした後の革に、ワックスを浸透させたアラスカという革です。銀面に浮き出て白く見えるのがワックス成分。アラスカの名の通り、雪や氷を思わせる涼しげな表情が特徴です。

あずきバーのような涼しげなアラスカレザー

このアラスカのワックス(蝋)ははじめ白い粉のように銀面に浮き出ていますが、使い込むと白っぽい色は消えていき、下地の革の色が出てきます。同時にワックスが磨かれることで銀面に艶が出ます。独特な経年変化を楽しむことができる面白いレザーです。

指で強く擦ると摩擦熱で表面のワックスが溶けて、下地の色が顔を出します。

でも革を揉むことで、全く元どおりとはいきませんが、白っぽいワックスの色が戻ってくるのです。不思議ですね。

今回は、革について各々が日々疑問に思うことを質問して話を聞くことができ、収穫の多い展示会となりました。

イタリアで実際の革作りの様子を見てきた経験があるのは末吉だけなので、いつか全員でイタリアに行って、自分たちの目で現場を見てこようと思います!

最後にマッシモ氏が見せてくれたのは、ミッスーリの赤で作った二つ折り財布。マッシモ氏から頼まれて末吉が作ったもので、1年前から使ってくれています。見せてくれたその財布は、革が馴染んで程よく柔らかくなり、とてもいい雰囲気にエイジングしていました。

サンプルの革をいくつか仕入れてきたので、面白いものが出来たらホームページやインスタグラムでお知らせします!いつになるか分からないので、どうぞ気長に待っていてくださいね。


関連ブログ
>>素材としての革の魅力
>>革の経年変化を楽しむ vol.1
>>革の経年変化を楽しむ vol.2
>>La Perla Azzurraの革の展示会(2018年)

“La Perla Azzurra社 トスカーナ産植物タンニンなめし革展示会” への2件のフィードバック

  1. 革の展示会の豪華さが伝わってきます。光沢が出る革との長い付き合いも大きな幸せだと思います、私は今 こちらのペンケースを見て とても嬉しい毎日を送っています。

  2. いつもありがとうございます。ペンケースをご愛用いただけて私たちもとても嬉しいです!少しずつ艶が増していき、色合いが深まっていく革の変化をどうぞお楽しみください。